2008年10月22日

金平糖の角はフラクタル

金平糖を最後に食べてからどれくらいの日数になるだろうか。金平糖というのは、イガグリやウニのように角が突き出た球形状の砂糖菓子である。私はてっきり、あの角は型枠に入れて作っているのかと思っていたが、実際にはそうではないという。職人が飴砂糖を銅鑼の上で回転させながら、2週間ほどかけて生やしていくものらしい。

この不思議な現象は自然科学者の関心を引くようで、かの寺田寅彦も金平糖の角について随筆を残している。

近年では東北大学理学部の研究者が金平糖の角について本格的な実験を行っている。詳細はホームページに掲載された実験結果とその考察を参照していただくとして、ここで興味深いのは次の性質だ。


あるとき実験中に、偶然に(本当はミスで)ショ糖液がドラムの内壁面に直接付着し、そこで結晶化してしまったことがあった。そのとき、すでにドラムの内部には角の生えた粒子が存在していたが、ドラム内壁の結晶にも、金平糖と同様の間隔で角が生えているのが観察された。さらに、もっと積極的に、小さな種粒子から成長させた小さな径の金平糖の中に、その数倍の径の粒子をひとつだけ混入させると、大きな粒子の表面には、小さな粒子と同様の間隔の角が生え始めた。つまり、金平糖の角は、あたかも凸版(あるいは凹版?)印刷のように、周囲の粒子(や壁)にコピーされているように見える。

条件が適切に設定されれば、粒子サイズはほぼ単一の分散のまま成長するので、自分自身と同様な角が生えた粒子同士で、自己触媒的に、角の情報を「プリント」し合うことになるだろう。その際に、ショ糖液は、インクの役割とともに、自らが結晶化することによって、「活字」を形成する役割も演じるはずだ。
(参照:金平糖の成長プロセスと形の選択(WEB版*)@東北大学大学院理学研究科


口に入れればすぐに溶けてしまう金平糖の角も、現代数学に通じる端緒がその成長の過程に隠されているのだとすれば、もうすこし口の中でピリリとした粘りを見せてくれてもよさそうなものだ。


■リンク集(自己紹介・家庭教師の依頼方法等)
dydx123@atwikiへ

■連絡先(授業のお問い合わせ・記事に関するお問い合わせなど)
メールアドレス:dydx123@gmail.com
電話番号:03-5876-8312 (相談随時)

にほんブログ村 教育ブログ 家庭教師へ